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玉川麻衣の作品、日記、展示等のお知らせです。  新しい作品はカテゴリー「ペン画1」に入っております。 個展 7月:八犬堂ギャラリー(京橋) 10月:ストライプハウスギャラリー(六本木)
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「猿聟入」で思い出したのだけど。
以前何かで読んだ、「田螺(たにし)息子」て話。


(掻い摘まみ)
信心深い老夫婦が観音さまに「息子を授けてください」と願掛けしたところ、田螺を授かった。
観音さまからの授かり物だからと大切に育てたところ、なかなか有能な田螺で。馬の扱いなんか特に上手で。
噂を聞いた長者の申し出でその娘と結婚し、夫婦仲は良好で…
ある日夫婦は観音詣でに出掛け、田螺はお寺の前で待っていて。
嫁がお参りを終えて出てきたところ、田螺がいない。
さては風に吹かれて田圃に落ちたかと、必死に探すが見つからず…
不意に声を掛けられ振り向くと立派な若者。
「観音さまのご加護でこの姿に」と。
末長く幸せに暮らしましたとさ。


…田螺(涙)
愛されてるのぅ(涙)


服部邦夫「昔話の変容」(国内外に分布するさまざまな昔話をいくつかのパターンに分類して、その成立・伝播・変容してゆく背景を民俗・宗教的な視点を交えて考察するという、読みやすい本です)によると、これは「一寸法師」と同じ「異常誕生話」「小さ子話」に分類されて…
最下層に生まれた者が機知や信仰の力によって逆転して富と幸せを掴む(一寸法師も、その原型ではなかなか狡猾な手口で聟の座を獲得していたり)、という、庶民の生活苦の中での夢想であるとか。
また、以前どこかで読んだのだけど、不幸な事情で早産、また新生児のうちに死亡してしまった我が子を小さ子に投影して、その元気に活躍する様に夢を見たのではないか、とか。


しかし。
田螺と老夫婦の団欒とか、田螺と馬の交流とか、田圃で田螺を探す嫁とか…
想像すると涙が込み上げるよ。
こう、絵面として。


(例えば、「猿聟入」の猿は、余所者・異界の存在で。
(情報網が発達していない時代には、自分達が住む村・集落こそが世界のすべて…=自分達のルールが通用する限界=自分の安全がひとまず保証されたエリア… で。外界の存在は、自分の生存を脅かす危険のあるもの=敵・悪・人に非ず、でもあったのだろうな)
田螺は、観音さまの許可を得た受け入れるべき存在で。
異質な存在を卑と見なすか聖と見なすか。こうした構図は様々な場面にあるのではないかしら。
…はまぁ置いといて)


ただ物語として見た場合…
田螺がそのまま見付からなくて、嫁がその後寡婦として生涯を送ったとしたら、それってすげぇエロだよな、とか。
また、現れた若者が実は財産目当ての偽物で、田螺は嫁を恋いつつ一田螺として生涯を送ったとしたら、それってすげぇ悲しくてちょっとエロだよな、とか。


いい年して自分の妄想逞しさを時折もてあましつつ。
このとこ昔話が熱いのです。
あと、神や化物の所在に興味津々。
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たにし

テストコメント。
してみたら無事できた模様。
HPのURLが必須みたいだね。
深津 URL 2009/06/21()20:20:56 編集
ありがとう~!
必須かぁ~
そら困るですねぇ。問い合わせてみます。
玉川 2009/06/21()22:41:47 編集
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プロフィール
HN:
玉川麻衣
年齢:
47
性別:
女性
誕生日:
1977/05/08
職業:
絵描き
趣味:
酒、読書
自己紹介:
ペン画を制作しています。 詳しくはカテゴリー「プロフィール」よりご覧下さい。

連絡先→tamagawa10@hotmail.com
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