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玉川麻衣の作品、日記、展示等のお知らせです。  新しい作品はカテゴリー「ペン画1」に入っております。
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アンドレイ・ズビャギンツェフ「父、帰る」を観た。


母子家庭で育ったローティーンの兄弟の元に、十二年振りに父が帰って来て、三人で旅行をする、というストーリー。
寡黙で高圧的な父と少年は打ち解けず、父が家を出た理由も帰った理由も旅行の目的も一切語られず…
伏線かな?と思わせる小さな謎も謎のまま、物語は終わる。
まったくもってわけがわからず。
しかし、大層に魅力的だった。


何故だろう?と思い返すと…
胸の内には、少年たちの表情や旅行先の風景、空の青さ、湖面の美しさ…が瑞々しく残っている。
なんだか、ともするとそれらが自分の記憶であるかのような勘違いをしてしまいそうだ。


考えようによっては、そこに何の理由も意味も教訓も見出だせない、て、とてもリアルであるかも知れない。
現実に起こることのその殆どは、そのようなものだろう。
そういえば、子供の頃には「大人の事情」てやつは、UFOよりも遠い存在であったような気もするし。


そういったある意味の現実感と、非現実的にも思えてしまう風景の美しさ。
それらが相俟って、「心の隅に残っている、どこまでが現実なのかわからない記憶」に似ているようにも思えてきたり。
そこから考えると、冒頭の、水底に沈んだ古いボートの映像は、「記憶」そのもののようにも思えてきたり。


…とまぁ、このようにいろいろと思い考えてしまうところが、この作品のパワーであり魅力なのでしょう。
なんだかね。
無理矢理にそこに意味や教訓を求める行為は、場合によってはひどく傲慢であるかも知れない、とも思ったです。


まぁその…うん。ねぇ?そのなんだ。
よくわからないけど、この映画、好きです。




覚え書き。
ここ最近(つっても一年くらい?)に観た映画で、特に面白く感じたもの。

「羅生門」「スラムドッグ ミリオネア」「THE MOON」「クジラの島の少女」「バーバー吉野」「太陽」「東京ゴッドファーザーズ」「ビッグフィッシュ」「マレーナ」「ソラリス」「月に囚われた男」「大人はわかってくれない」「ボルベール 帰郷」

(もっとあった気がする…)
(そのうちに、ちんまり感想文など載せるかもです。ちまちま書き散らしてはいるのだけれど、なかなか纏めるられんでのぅ…)
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ヤンソン「ムーミン谷の冬」を再読。


冬眠の途中で目覚めてしまったムーミントロールが、生まれて初めて冬を体験する、というお話。
読むのはたしか、中学か高校の頃に次いで二度目なのだけど…
最終章の春の訪れの描写の鮮やかさに感動して泣いてしまった。
このシリーズは、大人になってから読むとたまに泣けるです。


特に感情や感傷に訴えるような描写はなくて、淡々と、時にどきりとするほど公平に、でも鮮やかで瑞々しく…
やっぱりヤンソンさんはすごいなぁ。大好き。


特に気に入った文。

彼は考えていたのです――春というものは、よそよそしい、いじのわるい世界から、自分をすくいだしてくれるものだと。ところが、いまそこにきているのは、彼が自分で手に入れて、自分のものにしたあたらしい経験の、ごく自然なつづきだったではありませんか。
(山室静 訳)


あと、スナフキン作の曲のタイトル
「すべてちっちゃな動物はしっぽにリボンをつけなくちゃ」
て、すッごくいいな。
最近読んだ本の中から、面白く感じた部分をそのまま抜き出し。


井上ひさし「新釈 遠野物語」より

主人の話によると、集落を貫いて流れる橋野川に河童が数千匹と居るが、水中ではくらげの如くすき透っていて人の目には見えず、陸上では子供や旅人に化けるので、これも河童とわからず、山中では猿や雉に化けていることが多いので、ここでも見分けがつかないのだそうである。しかも彼らは姿形を変えるだけではなく、その大きさも自由に変える術を心得ており、馬蹄の跡に雨が降って出来た小さな水溜まりにも千匹くらい隠れていることがあるという。


澁澤龍彦「ちくま日本文学全集 澁澤龍彦」収録「穴ノアル肉体ノコト」…喉頭癌を切除して鎖骨の間に人工気門を開けた著者のエッセイより

ごく若いうちから、私には、人間の肉体は一個のオブジェにほかならないという思いが強かったものだが、いま、五十代のおわりになって、私はそのことを身をもって証明したかのような、ふしぎな気持ちにとらわれている。もしかすると、私の肉体は私の思想を追いかけているのかもしれない。ふっと、そんな気のすることがある昨今だ。
穴のある肉体。男は女よりも肉体における穴の数が一つだけ少ないが、どうやら私は新たにうがった穴によって、女にひとしい穴の数を所有することができたともいえそうである。両性具有。私ののどの穴は、もしかしたら女陰の代替ものなのかもしれない。私の潜在的な両性具有願望の、はからずも実現されたすがたなのかもしれない。そういえば、私には男性の象徴たるノドボトケも、すでに失われているのである。


山頭火 日記(七)より

酒は悪魔か、否、酒は菩薩か、否、酒は酒である、そして時として悪魔、時として菩薩、私次第で。

―身心苦し、自業自得なり、こゝで転一歩しなければ、私は自滅するより外なし。

文章報国―句作一念の覚悟なくては、私は現代に生きてゐられない。

山頭火と酒と俳句とは三味一体らしい!


烏兎沼宏之「まんだら世界の民話 作谷沢物語」より

(腕のよい石工が、数年かけて立派な石垣を築き上げて)
「石の方から、“こんどは、おれば使ってくれ”って、話しかけてくるものよ。何百年でも、でんと座っていてもらわねばならないのだから、石としゃべりながら、石の居心地のいいように積んでいくのよ。おら、頭いいわけでもなんでもないっす」
平蔵は、ほめられると、にかっとして、こう話していたっけど。
50本で切りがいいので…
相変わらず八代目林家正蔵に夢中。アイドルです。
布団の中で聴くと、えらいこと寝付きがよろしいよ。
()内は感想。


志ん朝復活いろはにほへとちりぬるを る
古今亭志ん朝(…華がある、てのはこんな感じなのかしら)
「火事息子」
「厩火事」(…マクラの、神様たちが出雲に集まって縁結びをする様子がかわゆくてたまらない)
同 ち
「百年目」(…格好いいぜ大旦那)
同 ほ
「佐々木政談」(…賢いお子が出世する噺。爽やか)
「夢金」

落語名人会20
古今亭志ん朝
「代脈」
「蔵前駕籠」
同 19
「佃祭」
「搗屋幸兵衛」(…あははは笑っちゃった。この噺の構造、好みです)

朝日名人会ライヴシリーズ2
桂歌丸1(小学生の頃「笑点」を毎週楽しみにしていたもので、声を聞くと嬉しくなっちまいます。噺は初めて聴いたのだけど、歌丸さん、結構尖ってるんだなぁ…)
「質屋庫」(…噺は面白いのだけど、悪口は聞きたくないよぅ)
「菊江の仏壇」

同 9
桂文治1
「掛取り」(…面白い~)
「火焔太鼓」

怪談噺・幽霊噺集成
八代目林家正蔵
「真景累ヶ淵―惣右衛門殺し~宝蔵寺湯灌の場」
「―聖天山突き落とし」(…なんとも陰鬱な人間関係…=因縁が、ここで終焉。ほっとした。噺として面白いのは頭から二つかしら。でも、押さえ気味な語り口をじっくりと聴けるのは、ファンには嬉しいな)
「雨夜の引き窓」


二代目三遊亭円歌
「質屋蔵」
「應挙の幽霊」


三代目桂三木助
「へっつい幽霊」
「化物使い」

八代目林家正蔵(彦六)名演集 6
「天災」
「藁人形」(…怪談、滑稽噺、人情噺。登場人物の誰に主眼を置くかでどれとも受け取れるのだな。なるほどぉ~。この匙加減が演じ手のセンスなのかしら)
「大名小噺」

三遊亭圓歌独演会
「白髭橋」
「西行」

三代目三遊亭金馬名演集15
「初夢」
「浮世根問」
「随談 艶笑見聞録」
「随談 猫の災難」

小さん落語 其ノ二
「粗忽長屋」(…笑いとホラーは紙一重だな…)
「千早ふる」
其ノ三
「棒だら」(…酔っ払い振りが見事~)
「意地くらべ」

古典落語入門 ベスト
古今亭志ん生
「黄金餅」
柳家小三治
「高砂や」
三遊亭圓生
「がまの油」
桂文楽
「小言幸兵衛」
三笑亭可楽
「三方一両損」
金原亭馬生
「船徳」
三遊亭金馬
「目黒のさんま」(…さんま美味そう…)

NHK落語名人選 38
三笑亭可楽(…ちょっと投げやりな感じの軽妙さが、ちょっと気になる。この「ちょっと」具合が巧妙なのだと思います)
「うなぎの幇間」(…この幇間に嫌らしさを感じないのは、実はすごいんだろうなぁ)
「うどん屋」

同 50
十代目桂文治
「源平盛衰記」
「豆屋」(…マクラの物売りの掛け声が愉快愉快)

特選落語名人会
三笑亭可楽
「二番煎じ」
「三方一両損」
「甲府い」

同 30
三遊亭小圓朝
「転宅」
「かつぎや」

立川談志ひとり会落語CD全集 五
「芝浜」(…奥さんが色っぽいです)
「高座版現代落語論~落語界の巨人たち」(…楽屋のお話。もう亡くなった名人たちの素の表情とか)
少し前、初めて意識して落語のCDを聴き、感動。
こんなに素敵なものを今まで知らずにいたなんて…!とりあえず100話、聴いてみよう。何かが見えるかも知れない。と思い立ち。
図書館に通って手当たり次第に鑑賞しておったのだけど、この度達成したのです。
以下メモ。
()内は感想。
聴いた順に書き足したので、シリーズものの番号はランダム。
同じ噺でも演者によってかなり違うので、別個のものと数えました。


立川談志 ひとり会 落語CD全集(…昭和40~42年頃、談志30才あたりの録音。なんつぅか、異様に勢いがあって間が気味よく…セクシィです。才気のエロス)
第四集
「野晒し」
「蔵前駕籠」
「大工調べ」(…親方の捲し立てが気持ちいい~)
第二集
「へっつい幽霊」
「鉄拐」(…支那の国・上海屋だって。仙人が主人公。面白い~!シュールで好き)
第八集
「長屋の花見」(…長屋の衆の掛け合い、どぉにも気味がよいです)
「田能久」
第九集
「ろくろっ首」
「淀五郎」
第七集
「西鶴一代記」
「夢金」(…音だけ聞いてると本当に二人くらいいるとしか思えない。すげぇ~)
「十徳」
「山号寺号」(…とんとん落ち。テンポが堪らなく気持ちいい)
第六集
「天災」
「武助馬」
「黄金の大黒」(…「長屋の花見」の長屋が舞台。サゲがかわいいよぅ)
第三集
「三方ヶ原軍記」
「鼠穴」(…ふと、現実には夢が覚めないのだろうなと。この方の噺には現代を思うことがあります)
第一集
「宿屋の富」
「らくだ」

怪談噺・幽霊噺集成
八代目林家正蔵(…几帳面で品のある語り口に只今夢中。恋かしら)
「どくろ柳」(…サゲの後、急にがつんと寒気が来る。これではまったです)
「耳なし芳一」(…泣いちまったよ。主人公は芳一でなく平家の亡霊たちであるように感じた)
「真景累ヶ淵―豊志賀の最后」(…「累ヶ渕」の後日談。なんとも陰惨な人間関係。「真景」とは「神経」なのだとか…幽霊は神経の作用、て。人の弱さ狡さ、罪悪感、因果因縁…何かが出そうな空気、もしかしてあれ幽霊?て不穏が怖くて堪らない)
「―水門前の場」
「―お累の自害」

五代目古今亭今輔
「死神」(…「笑ウせぇるすまん」のルーツはこのへんかしら、て思った)
「もう半分」(…なんて悲しい話なんだ!サゲで少しだけ和むよな(どうしようもないリアルさから離れるから)、突き落とされるよな)

桂小文治
「たちきり」
八代目三笑亭可楽
「反魂香」

NHK落語名人選92
八代目林家正蔵(彦六)
「牡丹灯籠 幸手堤」(…哀しいのぅ~。幽霊より何より人の心が怖いやねぇ)
「ざこ八」
同43
「生きている小平次」(…怖ぇ…すげぇ怖いよ!恐怖の構造、幽霊の位相。人の心の弱い部分に宿るのね)
「穴どろ」(…夫婦喧嘩や酔っ払いの描写が、ちょっと可愛くてちょっと哀しい。愛おしくなっちゃう)
同91
「傘と赤い風車」
「こんにゃく問答」

同39
六代目春風亭柳橋
「星野屋」
「小言幸兵衛」

同83
五代目古今亭志ん生(…語り口にあまり馴染めず。見た方がよいのかなぁ)
「井戸の茶碗」
「天狗裁き」

同41
六代目三遊亭円生
「八五郎出世」(…笑い、庶民感覚の気味のよさ、ちょっとした泣き…バランスがよく。うまいなぁ~)
「夏の医者」
同40
「浮世床」(…きっと音声だけでなく見た方が面白いのだろうなぁ)
「樟脳玉」(…なんか好き)

同48
五代目柳家小さん
「うどん屋」(…夜気、夜鳴きうどん屋の湯気灯り、酔っ払いの息づかい…がリアルに感じられ。やっぱりすごいなぁ)
「化け物使い」(…化け物がかわいい…間接描写の妙!人が想像する順番や速度が過不足なくぴたりと押さえられているのだろうなぁ)
同49
「禁酒番屋」
「長屋の花見」

同22
十代目金原亭馬生(…この語り口。脱力系、なのかしら。私はよくわからん…て思ったのだけど、YOU TUBEで動画を見たら面白かった)
「富久」
「王子の狐」

同36
三遊亭金馬
「堪忍袋」
「一目上り」
「雑俳」(…ご隠居と八つぁんが本当に楽しそうで嬉しくなっちゃう)
「小言念佛」(…あはははこれ好き)

三代目三遊亭金馬名演集12
「高尾」
「近江八景」
「夏どろ」
「たがや」(…江戸庶民の武士階級に対するレジスタンス。洒落にならん状況を笑い飛ばすパワー!)

六代目三遊亭圓生名演集
「大山詣り」
「首提灯」(…シュール。面白い~!)

正蔵改め林家正蔵名演集6
「しわいや」(…小噺集。寝る前に聴くと和みます)
「磯の鮑」

隔週刊 CDつきマガジン 落語 昭和の名人決定版 10
八代目林家正蔵(彦六)壱
「中村仲蔵」
「鰍沢」
「あたま山」(…これも小噺集。シュールでシンプルで…すごいよなぁ)
同弐
「怪談牡丹灯籠~幸手堤」
「傘と赤い風車」
「伽羅の下駄」

ビクター落語 八代目林家正蔵 3(…85才の頃の録音なので、「じぃちゃん…!」と手に汗握ってしまいます。ある意味スリリング。でも入眠効果も抜群)
「永代橋」(…この口調(木久翁さんが真似っこされてるのはこの頃の口調なのだなぁ)でそそっかしい人(=大ボケの人)同士の掛け合いをやられると、大層スリリング)
「蔵前駕籠」
「穴子でからぬけ」(…与太郎も迫力)
「やかん」
同4
「ぞろぞろ」
「紫檀楼古木」
「しわいや」
「権兵衛狸」(…この口調で「これは私が心安い狸から聞いたんだから…」と言われたら、冗談とは思えない)

特選落語名人会 林家正蔵(八代目)
「宿屋の仇討ち」(…江戸っ子三人の仲良しっ振りがかわゆくて)
「年枝の怪談」

同 古今亭志ん生(…遊郭の、幾らか陰り湿りを含んだ空気を感じます。きっとこの方はお客の視点からの吉原を、八代目正蔵はその辺りで生活する人々の視点からの吉原を(ご両親が牛太郎や遣り手をされていたそうで)、リアルに描写されているのではないかしら)
「首ったけ」
「付き馬」

志ん朝復活 色は匂へと散りぬるを と
古今亭志ん朝(…なんつぅか色っぽいと思います。王道の色気)
「おかめ団子」
「茶金」
同 へ
「碁どろ」
「お若伊之助」
同 り
「品川心中」(…面白い~!)
「抜け雀」

落語名人会18 古今亭志ん朝
「三軒長屋」(…これも面白い!)
「羽織の遊び」

寄席の噺 ホールの噺 古典落語の巨匠たち
六代目三遊亭円正
「安産」
「がまの油」
「火事息子」

上方落語特選 笑福亭仁鶴 第二集
「七度狐」
「三十石」

五代目古今亭今輔落語集 一
「峠の婆さん」(…素敵な婆さんキャラ。この婆さんは、例えば志村けんのコントとか青島幸男のいじわるばあさんとか…男性視点の、ある意味マドンナ・菩薩であるのだろうなぁ)
「葛湯」
「馬の田楽」
「藁人形」

YOU TUBEで見た。
十代目金原亭馬生
「親子酒」(…酔っ払い振りがかわいい…)
八代目林家正蔵
「五人廻し」(…仕種は地味なのだけど、手先まですっきり伸びて綺麗。踊りを好まれたらしいけど、上手だったのだろうなぁ)
「中村仲蔵」
桂枝雀(…ネジ巻きがついていそうなアクション。外国の人に受けるのも、なるほど)
「時うどん」
桂歌丸
「化け物長屋」
古今亭志ん朝
「たがや」(…サゲの掛け声がすごく気味いい)



制作が終わって落ち着いたら、寄席に行こう。うふふ。
プロフィール
HN:
玉川麻衣
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1977/05/08
職業:
絵描き
趣味:
酒、読書
自己紹介:
ペン画を制作しています。 詳しくはカテゴリー「プロフィール」よりご覧下さい。

連絡先→tamagawa10@hotmail.com
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