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玉川麻衣の作品、日記、展示等のお知らせです。  新しい作品はカテゴリー「ペン画1」に入っております。 個展 7月:八犬堂ギャラリー(京橋) 10月:ストライプハウスギャラリー(六本木)
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最近読んだ本の中から、面白く感じた部分をそのまま抜き出し。


井上ひさし「新釈 遠野物語」より

主人の話によると、集落を貫いて流れる橋野川に河童が数千匹と居るが、水中ではくらげの如くすき透っていて人の目には見えず、陸上では子供や旅人に化けるので、これも河童とわからず、山中では猿や雉に化けていることが多いので、ここでも見分けがつかないのだそうである。しかも彼らは姿形を変えるだけではなく、その大きさも自由に変える術を心得ており、馬蹄の跡に雨が降って出来た小さな水溜まりにも千匹くらい隠れていることがあるという。


澁澤龍彦「ちくま日本文学全集 澁澤龍彦」収録「穴ノアル肉体ノコト」…喉頭癌を切除して鎖骨の間に人工気門を開けた著者のエッセイより

ごく若いうちから、私には、人間の肉体は一個のオブジェにほかならないという思いが強かったものだが、いま、五十代のおわりになって、私はそのことを身をもって証明したかのような、ふしぎな気持ちにとらわれている。もしかすると、私の肉体は私の思想を追いかけているのかもしれない。ふっと、そんな気のすることがある昨今だ。
穴のある肉体。男は女よりも肉体における穴の数が一つだけ少ないが、どうやら私は新たにうがった穴によって、女にひとしい穴の数を所有することができたともいえそうである。両性具有。私ののどの穴は、もしかしたら女陰の代替ものなのかもしれない。私の潜在的な両性具有願望の、はからずも実現されたすがたなのかもしれない。そういえば、私には男性の象徴たるノドボトケも、すでに失われているのである。


山頭火 日記(七)より

酒は悪魔か、否、酒は菩薩か、否、酒は酒である、そして時として悪魔、時として菩薩、私次第で。

―身心苦し、自業自得なり、こゝで転一歩しなければ、私は自滅するより外なし。

文章報国―句作一念の覚悟なくては、私は現代に生きてゐられない。

山頭火と酒と俳句とは三味一体らしい!


烏兎沼宏之「まんだら世界の民話 作谷沢物語」より

(腕のよい石工が、数年かけて立派な石垣を築き上げて)
「石の方から、“こんどは、おれば使ってくれ”って、話しかけてくるものよ。何百年でも、でんと座っていてもらわねばならないのだから、石としゃべりながら、石の居心地のいいように積んでいくのよ。おら、頭いいわけでもなんでもないっす」
平蔵は、ほめられると、にかっとして、こう話していたっけど。
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プロフィール
HN:
玉川麻衣
年齢:
46
性別:
女性
誕生日:
1977/05/08
職業:
絵描き
趣味:
酒、読書
自己紹介:
ペン画を制作しています。 詳しくはカテゴリー「プロフィール」よりご覧下さい。

連絡先→tamagawa10@hotmail.com
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