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玉川麻衣の作品、日記、展示等のお知らせです。  新しい作品はカテゴリー「ペン画1」に入っております。 個展 7月:八犬堂ギャラリー(京橋) 10月:ストライプハウスギャラリー(六本木)
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以前書いた夢日記の中から幾つか取り出して、少し整えてみました。
「夢十夜」のまねっこです。


蝦大黒


テナガエビのような大黒さんの夢を見た。


真っ白な漆喰の壁に、焦げ茶掛かった黒の立派な柱。
目の高さくらいの位置に、三十センチほどの大黒さんがにこにこと笑っている。
私は土間に立ってそれを見ている。
大黒さんの肩から上へ、肘を軽く外側へ曲げて菱形のように、伸びやかな若々しい腕。手首は真っ直ぐに指先をすぼめている。
肘を伸ばせば身長の倍くらいに長そうだ。
腹には三対の赤子のような手が、行儀よく握られて並んでいる。
長い腕が時折ゆっくりと揺れる。


その下には十センチばかりの折り紙のような人型が、縦に幾対か並んでいる。
布袋さんや恵比寿さんだろうか。


奥の間から人が出てきた。
奥の方は影になってよく見えず、その人の顔にも影が落ちてよく見えない。
手を前で組んで畏まり、大黒さんのご由緒を説明してくれた。
いつの間にか私の斜め後ろに立っているので、視界の隅に影が映るばかりで姿形を捉えられない。
此処は旧家であり、代々この大黒さんを大切にお祀りして来られたのだと。
長い腕の理由を説明され、その時はなるほどと感じ入るのだが、すぐに記憶から抜け落ちてしまう。


合掌して顎を引き拝む。
うっかりしていると長い腕に捕まってしまうような気がする。
緊張を解けない。
大黒さんは相変わらずにこにこと笑っている。
長い腕はゆらゆらと、気配を探るように動いている。
腹の手たちは動かない。


背後から厳しい気配が伝わってくるので、拝むのを止められない。
ふと、あの長い腕で捕らえられた時に、腹の小さな手たちが動くのかな、と思った。
鳩尾に冷水が広がるような恐怖を感じた。
背後の気配の厳しさが増す。
拝むのを止められない。
小さな人型たちがくつくつと、静かに泡立つように笑いはじめた。

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本当かな~?
登場人物の名や役割は言葉の連想によって引き出されているような感じで、 黒の立派な柱(神)≒大黒柱→大黒天→恵比寿・大黒→蝦大黒  立ち位置ー土間→竈・台所→台所に祀られる神→恵比寿・大黒  布袋・恵比寿→七福神→七福神詣で  以上のことをふまえて類推していく(本当かな~?かなり怪しい・・・)と  蝦大黒の長い腕に捕まえられるというのは命を奪われる、殺される 何を殺されるのか、今までの自分、今までの自分を一旦否定し、新たな自己を産み出そう・生み出したいとの欲求・願い→神に拝む行為 自らの命を犠牲にした時に新たな生命が動き始める(赤ん坊が姿を現す)といったストーリー展開がみられるような気がしました。でも夢のイメージには集合的なイメージとともに個人の経験から結びついたイメージがかなりあるのではないかと思いますので本当のところは本人しかわからないのではないかと思います。時間がたって後で振り返ってみたときに、ああ~、このことをいっていたのだなと腑に落ちることがままあるのではと思います。

玉井 2013/02/25()10:36:16 編集
おぉぉ!
お返事が遅くなってしまってごめんなさい。
ありがとうございます!

わぁ!思いついたままなんとなく書き散らしておりましたが…なるほど!!
たしかこの夢を見た頃は、民俗関係の本を読み散らかしておりまして…また、過労で体を壊して療養中で、内省、模索をしておりました。寺社にお参りもしておりました。
…ということを、コメントを拝読して思い出しました!
なるほど…!仰ってくださるように「次のステップへ踏み切るためにしゃがんだところ」として考えると、なんだか嬉しくて勇気が出ます。
今後また大黒さんに遭遇する機会がありましたら、もっと安心して思い切り踏み切ろうと思います!

含蓄豊かな素敵なコメントをありがとうございました!
玉川 2013/03/04()15:14:55 編集
プロフィール
HN:
玉川麻衣
年齢:
46
性別:
女性
誕生日:
1977/05/08
職業:
絵描き
趣味:
酒、読書
自己紹介:
ペン画を制作しています。 詳しくはカテゴリー「プロフィール」よりご覧下さい。

連絡先→tamagawa10@hotmail.com
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