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玉川麻衣の作品、日記、展示等のお知らせです。  新しい作品はカテゴリー「ペン画1」に入っております。 個展 7月:八犬堂ギャラリー(京橋) 10月:ストライプハウスギャラリー(六本木)
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入浴していたら、父が鼠捕りにかかった鼠をなぶり殺す声が聞こえた。
生物の断末魔を初めて聞いた。まさに断末魔だった。
父の唸り声も人間離れしていた。


風呂から上がって目にしたもの。
ぺたんこに畳まれた鼠捕りと散らばった血。
頬を上気させ妙に機嫌の良い父。
…怖ぇ。
絶対必要以上にいたぶってたぜあれ…


ここから恐怖についてあれこれ思索してみようとしたけど、やめた。
だって怖いから。


私がどんなに考えたって、現実も世界も変わらんしな。
(そう思うと少し安心)
(変えられるのはそれらとの関係であり、私自身がよろしく変われば関係もよろしく変わる)


絵のことを考えよう。
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友人が「インドでは樹木と結婚出来るらしい」との情報をくれた。
まままじですか!?どどどうしよう。


私は木が大好きである。
愛してる、と言ってもいいと思う。
幼稚園の頃、遠足で行った先で一日木と話し込んでいたらしい。
今でも描いていると、木のことばが聞こえた!と確信する瞬間がある。
(残念ながら今聞けるのはごく稀に一言、だけなので、会話までには至らない)
たぶん近い前世で私は木で、その生はとても幸せだったのだと思う。


…輪廻転生。
そういう考え方・捉え方・表現の仕方も有りだと思う。
過去の堆積が現在を作っているけれど、過去は今更どうにも出来ないし、過去が現在に干渉することはない。
未来を目標として現在の自分を奮い立たせることは出来るけど、結局どうなるかはわからない。
あるのはずっと現在だけ。どうにか出来るのは現在だけ。
前世も来世も似たようなものとして、現在を客観視するひとつの手段として。
またちょっとした潤いとして。
だから前世の因縁どうこうとか、来世のために現世を捨てるとかは、絶対に無しだと思う。


…閑話休題。
もし木と結婚出来るとしたら、どうしよう。

「ボクはどの石も好きだけどォ…
どの石がボクを好きなのかわからないなァ」
(いがらしみきお「ぼのぼの」)

やっぱり惚れた木を口説くのかなぁ。
その木が人の家の庭先に生えていた場合、「お宅の木をください」て申し入れるのかなぁ。「結婚を前提としてお付き合いさせて頂いてます」とか。
私有地だったら持ち主に、国有地だったら国に…
通い婚?
でも私、木に対しては惚れっぽいんだよな。
描き上がるとすっと落ち着いて、また違う木が気にかかり…
それはつまり、繰り返し描き続けたい、と思える木にまだ出会っていないということか。
まだまだ青いな私…


今まで描いた中でいちばん熱を上げたのは国分寺のヒマラヤ杉かな、とか、理想のタイプはやっぱり桜かな、とか。
いろいろ妄想しつつ、調べてみた。


木婚…
カースト最高位のブラーマン(祭司)には、弟が兄より先に結婚してはいけないという習慣があり、弟が先に結婚したい場合は、儀礼的に兄が木と結婚した。
木が枯れたり倒れたら婚姻は無しになるので、人間の相手が決まったらその木を伐採することもあった。
現在は殆ど行なわれていない、世界的に珍しい婚姻形態である。
…のだとか。


…なんだよッ!!ぱしーん(手拭いを床に叩きつけ)
ひどいじゃないかッ!!


…まぁ木としては、求めるのはただひたすらに陽光・水・空気・土だろう。
いきなり伐採されるのは言語道断として、岐阜の薄墨桜のように無理に延命されるのも迷惑なのでは。
ありのままただ一心に生きる、その力。美。
例えば私が懸想して描きに通うことは、寿命の長い彼らにとって、虫が寄ってきて巣を張るようなものかしら。


伴侶の木の傍らに暮らしてただひたすらに描き続け、寿命を終える。その木の傍らに埋めてもらう。
それってえらく甘美な、お伽話だなぁ。
今のとこ私は、北斎のように、描きに描きに描きながら前のめりに絶命するのが理想なのだが。


木を描いていると、自分の死を思う。
メメント・モリ!
死を想え!そして生きろ。…だな。
本気で想って本気で生きよう。
見事な強風であったことだなぁ。


空の向こうから逆さの緞帳のように迫り上がる黄土色に、永井豪「デビルマン」ラストの天使族襲来を思い出してときめいた。


こんな日の木は、足指を開いて踏張り腰にぐっと力を入れ、腕を風に同調させて振り回し衝撃を逃がし、目を閉じ顎を引き無言で耐えているようで、大変にセクシィである。
少しずつ、視覚や神経がお絵描き仕様に変わってゆく。戻ってゆく。
散らばっていた精神・肉体・世界が、少しずつ集まって形を成しはじめる、感覚。
よしよし生きてるぞ。
筆を止めると、深い水の底に沈んでいるような…
自分が緩やかに死につつあるような気持ちになる。
たぶんその通りなのだと思う。
二日半寝込み床を払ったところで月のものが来たため、まとめて休養を摂ることにした。
気合いやらやる気やら思考やらのスイッチを切ったら、がしゃっと、心身のたがが外れる音がした。ような気がした。


粥を食し(白粥+ゆかりが気に入り)、神経痛と月経痛に「痛たたた」言いながら散歩し、読書。
時代小説を中心に読み耽る。
時代小説は程々にファンタジーなので、程々に現実逃避するのによい。


今なにかを考えても悪い方へ向くばかりだろう。
問題も課題もいろいろあるが、とにかくひとまず回復せねば。


窓から庭を眺める。
銀杏の枝が棕櫚の葉がゆるゆるとそよぎ、光も蔭もゆるゆると動く。
時折野鳥がやって来て、枝に止まり枝を渡りまた去る。
雑多な思いやら記憶やらがぷつりぷつりと泡のように湧いてくるが、捕まえたり纏めたりせずに、そのまま流れるに任せている。
(考え過ぎない思い詰めないとは、こんなことを言うのかしら)
(そぉいや考え過ぎを、医者に止められていたっけ)


もし私がいなくても、この風景はなにひとつ変わらないだろう。
そう思うと安心だ。
しかし私がいなければ、この絵は絶対に完成しない。これはとても心強い。
意味も因果も人の心だのぅ。なむなむ。


とにかくとにかく回復せねば!
プロフィール
HN:
玉川麻衣
年齢:
47
性別:
女性
誕生日:
1977/05/08
職業:
絵描き
趣味:
酒、読書
自己紹介:
ペン画を制作しています。 詳しくはカテゴリー「プロフィール」よりご覧下さい。

連絡先→tamagawa10@hotmail.com
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