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玉川麻衣の作品、日記、展示等のお知らせです。  新しい作品はカテゴリー「ペン画1」に入っております。 個展 7月:八犬堂ギャラリー(京橋) 10月:ストライプハウスギャラリー(六本木)
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夢を見た。
私は透明な球体で、指先から頭くらいの大きさに絶えず繰り返し伸縮ながら、楓の木の周りを浮遊している。


梢の先で跳ね、枝枝の間を縫い潜り、幹を辿って転がりまた頬擦りをする。
時には数メートル離れて姿を見、すぐに戻って幹の窪みに鼻先(?つぅか全身?)を埋め、また梢を跳ね回り…
私の全身は心臓そのもののように脈動し、透明な血液が駆け巡る。
嬉しくて、楽しくて、愛しくて、たまらない。



ここ二日、制作で上がりきったテンションが戻らず、うまく眠れず朦朧と闇雲に動き回っていた。
やっとどぉにか落ち着いてきて、鈍っていた痛覚も戻り、そこここがやたらと痛んでいることに驚く。
熱も出た。
少しずつ眠れるようになってきたらば、夢を見た。
「線」以外のはっきりとした夢を見るのは久し振りである。



ここ二ヶ月ほど、たぶん毎晩、「線」の夢を見た。
ペン画制作時には、脳内にモチーフの立体模型を建てる心積もりでいて…
床に就いて目を閉じ意識が覚醒状態から離れると、決まって「線」が現れる。
透明な楓の模型の上を、線分が移動する。
それらはちょうど、私が制作時に引くものと同じくらいの長さと細さで。
雲が湧いては流れゆく様を写した早回しの画像のように、無数に出現し移動し組み合いほどけまた組み合い、線画を構成する。
ある程度の画面が出来上がると崩れ落ち、また違うニュアンスのパターンを構成する。
それがだいたい、二時間から四時間ほど、続く。
(この状態の時は意識の一部が覚醒していて、現実の音が聞こえるのです)


制作が進んでくると、まずその時点で描いてあるところまでの線が現れて固定され、その先のパターンの試作が始まる。
時折視点が移動して角度を変えたり、重点的に描き込むべき部分が拡大されたり、もっと観察が必要な部分が示されたり…
一通りの構成が示されると、線たちは動くのをやめ、ゆっくりと溶け…
そこに曖昧で頼りない有象無象のイメージたちが入り込んできて、私の意識も溶ける。
たぶんここからが本当の睡眠だったのだろう。
そして「そろそろ目が覚めるな」と感じた瞬間、構成されたパターンたちがダイジェストで強烈に現れて、真っ白に消し飛んだ瞬間、目が開くのだ。



私の無意識の中に構成担当の人が居て、私自身はそのイメージを下請けして形にする労働者であるような、心地がするのです。
制作中は、常に構成者に胸倉掴まれて「早く描かんかこらぁぁ!!」と揺さぶられているようで…
構成夢は全力の集中を強いられるし、日に日に緻密になるし、自分の限界の先を抉じ開けられ続けているようで。
目覚めると大概全身が緊張していて、息が乱れて動悸がしていることもあり、毎晩六時間から時には十時間ほども床に就いているのに体力が目減りするのを感じた。
やぁぁ。
仕上がってよかったよかった。



昨夜の夢は、愉快であった。
楓は、線画でなく、緻密な立体模型…本物のようだった。
そうか。仕上がったんだな。
もうこの楓の夢を見ることはないのだな。
気付いたら、体の奥からなんともいえない感情が膨れ上がり、私はぱちんと弾けた。
真っ白な視界に幽かな血の飛沫が散った。



目を開けて、「終わったのだなぁ」と思い、少し泣いた。
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プロフィール
HN:
玉川麻衣
年齢:
47
性別:
女性
誕生日:
1977/05/08
職業:
絵描き
趣味:
酒、読書
自己紹介:
ペン画を制作しています。 詳しくはカテゴリー「プロフィール」よりご覧下さい。

連絡先→tamagawa10@hotmail.com
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